2023.6.15木
・斜線堂有紀『楽園とは探偵の不在なり』読了。『二人以上殺したら地獄行き』という世界で連続殺人が起きる特殊設定ミステリ。最近話題のミステリなので読んだが、正直あまり合わなかった。
こんな流行りの小説家でもこうなんだから、やはり難しい推理小説を書くのはとても難しいことなんだな、と感じた。
※以下は自分の小説の出来は棚に置いて感想書きます。
悪い点。
・主人公の内省パートが長く、くどい。
主人公はやたらと過去の出来事を悔やんだり、探偵の立ち位置を卑下したりする。
だが、ミステリ小説を読んでいる読者は当然探偵の活躍(推理)を楽しみたい訳で、そこにミスマッチがある。
・ミステリ部分(トリックや事件の真相)があまり上手くない。
「二人以上殺せないはずなのに連続殺人が起きる」という点が一番の謎な訳だが、この点の解決内容が魅力的ではない。読者が最初に思いつきそうな方法だ。
(間接的に殺させる、地獄行きを避けるために自殺する)
・「二人殺したら地獄行き」のルールが曖昧
過失による殺人や自殺幇助についてはカウントされないとのことだが、それなら事故の誘発は? 毒饅頭を被害者本人に選ばせるのは? 罠は? などと考え出すとルールが曖昧かつ緩い。
そのためにルールの抜け穴はいくらでもある(間接的殺人、事故の誘発など)。
だから連続殺人自体を「ありえない」と騒ぐのはおかしい。
・キャラクターが軽い
キャラクター(特に若者)が漫画のキャラクターのように軽く、リアリティがない。
口調も砕けていて、気が散る。
・天使の設定についての論理的解決がない
これは難しいところだが、ミステリを標榜していて、作中で「何故天使はこう行動するのか?」と問うている以上、何かしらの解決は必要だったのではないか。
以下、良い点。
・色々書いたが、「二人殺したら地獄行き」という設定自体はキャッチーで素晴らしいと思う。本を手に取らせる力がある。
天使の設定には元ネタ(のSF小説)があると明記されているが、それをミステリに持ち込んだのは素直に素晴らしい事だと思う。
・トリックのひとつに、天使を物質として用いるくだりがあり、そこは面白いと思った。
例えばクビキリサイクルで死体をただの物質として用いるトリックがあるのだが、そうした発想の転換は面白い。
・以下、日記。
・今日も仕事をのんまりと。
メータ指針の電話を受け、お答えできないと回答したのだが、先輩女性から「個人情報漏洩したら大変だよ!」とお声掛けが。
情報漏洩はしてないのだけど、危なっかしかったってコト? まあ心配してくれたのかな。良い風に考えよう。
・昼休みなんか眠くて頭が働かず。何故かな。
・WEBアプリ作成もちびちびと。
・娘が初「壁に落書き」。消せる壁だったので良かった。