【ジャンル】 経済書
【公開年】2014年
【読了時】2015年
【レビュー執筆時】2015年
■この本を読んだ理由
ビジネス書好きの上司との話題作りのために(笑)。
経済書を読むのはほぼ初めて。*1
ピケティの『21世紀の資本』を読みたかったが、先に短めのこちらを手にとった。
■感想
たまには経済書を……という軽い気持ちで手にとった本書だが、僕は結構楽しめた。
経済書というものをほぼ初めて読んだからかもしれない。
内容としては、序盤はピケティ『21世紀の資本』の簡単な概説、後半はそれになぞらえたアベノミクス批判だ。
しかし後半は全くといっていいほどピケティは関係ないので、そこは思い切って無視する。本当に安倍内閣の現状を批判しているだけだからだ。
という訳で、序盤のピケティ概論を僕なりにまとめると以下のようになる*2
・経済格差は、放っておくと拡大する。現状、資本に基づく利益が多いからだ。つまり金持ち(とその子供)が更に金を得る構造になっている。
・ちなみに、「資本を得る」という恩恵は、能力に比例すると思われがちだが、そうではない。幸運(景気など)による収入も多分にあるし、上層の役員の方が儲かりやすいシステムが出来上がっているからだ。
・経済格差が拡大すると、政治を(選挙費用をふんだんに使える)富豪に乗っ取られ、貧民のための制度がなくなり経済は破綻する。
・経済格差拡大を防ぐ具体案として、「累進課税*3の徹底」と「国際レベルでの資本税の導入」である。
これにより、富豪の資本を貧民に還元できるだけでなく、「富豪になることの意欲」も削げる。
・上記の案は夢物語に聞こえるかもしれないが、それに向けて少しずつ政策を変えていくことは出来るはずだ。
こんな所だろうか。
個人的には「格差は『仕方ない』事ではない。放っておくと経済が破綻するし、また格差は修正が可能である」という理論自体に驚いた。
格差は仕方のないものなんだと思って諦めていた。洗脳されていたとも言える。
しかし実際、格差は能力の差だけで生まれる訳ではないし、生まれ持った格差が是正できるならその方がいい。
お金が足りなくて進学出来ない人は実際にたくさん居る。奨学金の返済に苦しむ人も知っている。
経済の話はどうにも暗い方向に行くが、それが改善できるかもしれないのなら手を打つべきだろう。
このように、僕の観測範囲内の生活と「経済」なんてものが繋がっていることや、それを改善できるかもしれないことも新鮮だった。
何にせよ、ちょっと経済に興味が湧いてきたので、時間があったら読んでみようかな、と思っている。それがこの本を読んだ一番の収穫だった。
いつか、ピケティの『21世紀の資本』もちゃんと読もうと思う。とりあえず、この本だけで「ピケティ大体知ってるよ」とは言えない。当然だが。