<今回のまとめ>
・毒親の元で住むということ.
私は今、修士1年で就職活動をしている.
そんな中,両親に
「家から一生通うと誓わなければ、今すぐ家を出て行け」
と言われた.
私の専門では,「家から一生通う」と断言できる企業はほとんど無い.
だから一週間後,私は手紙を書いた.
「親子関係を切りたくないから家を出たくない。今の研究はこういう事をしていて、社会貢献をしたいから、この会社を受けたい」
という内容だった.
すると母は,
「親子関係を切りたくないと言うが,どうせ金だけが目当てだろう。お前が言う"親孝行したい"というものは嘘だ。それで内心でほくそ笑んでるんだろう。だがお前の性格の悪さを、私達は見抜いている。それを忘れるな。
研究に関しては、別にお前が何をしたいかなんて興味ないし、私には関係ない。だから手紙の研究の件は読み飛ばした」
と言った。
父は、数日前には「院まで行ったのだから、それを活かせる希望の会社に行けばいい。自分は応援する」って言ってたのに、今日になって
「好きな会社に行きたいと言っているだけじゃないか。親に対する誠意が足りない。これで納得できるはずがないだろう。研究の話も、志望する会社の話も、ひとりよがりで、自分には関係ない」
と言った.
私はこの発言を聞いて,両親と縁を切ることに決めた.
正直に「一緒に居たい」と言っても「嘘だ」と言われ,
自分の生きがいを話しても「そんなもの興味無い」と言って読み飛ばすような人間を,親とは思えない.
「お前がどうしたいのかは興味無い,私は一緒に暮らしたい」というのは,
私の幸福を一切願っていないということだから,愛情ではない.
だからこちらも両親に愛情や想いやりを傾ける必要はない.そう思った.
話しあいの最後に,両親は,
「『結婚したら家に戻ってくる』と約束するなら,志望会社を受けることを許してやっても良い.結婚しないなら40歳で戻ってこい」
と言ってきた.
私はこの時点で,親と縁を切ることは決めていたので,いつ縁を切るのかを考えた.
今縁を切ったら,就職活動しながら一人暮らしを始めながら親の嫌味(嫌がらせ)に耐えなければならない.
それは現実的に考えて無理だと思った.
そして,別にこんな人間との約束は後で破っても良いと思い,
「私にとって最も利が大きいのは,就職時に家を出てそのまま縁を切る方法だろう」
という結論に達した.
なので,
「分かった.結婚したら家に戻る」
と嘘をついた.
就職する日(2015/4/1)まで,あと429日である.
私は429日に渡って嘘をつき続け,家を出ることを決意した.
問題はただ一つ,「私の精神が耐えられるか」という点である.
母は,一般的に言う所の「毒親」という人種である。
毒親とは,一言で言うと,子供を過剰にコントロールしようとするの親のことだ.
恋愛や就職に介入してくるだけでなく,自分に構う事を強要したり,誤った倫理観を植えつけたりする.
私の母はそういう人間である.
毒親に育てられた人間は,健全な倫理観が育たないために完璧主義者になりうつ病になったりと,精神を病む事が多々ある.
自身の親が毒親だと気付いた後であっても,その影響は精神に根付いているため,親の言動にいちいち気を病むことになる.
この「気を病む」という状態を,毒を飲まされる(?)というように例えられ,「毒親」と呼ぶのだ.
さて,私はあと429日を両親と一緒に過ごすことに決めた.
つまり,あと429杯の毒を飲み干すことになる.
果たして私は耐えられるだろうか.
429杯の間に私の身体が毒に染まりきってしまわないだろうか.
毒に染まってしまったら,私の精神と身体は本当に「死ぬ」だろう.
私が死んだら,母は泣く.
一人で生きなければならない今後のことを考え,自分の為に泣く.
その自己愛に満ちた泣き顔を想い浮かべながら,
私は今日もまたゆっくりと,1杯の毒を飲み干した.