kenpi20の灰色マインドマップ日記

都内で暮らす会社員のライフログ、現状把握、自己分析

【エッセイ】 恋人と友達の違い。

 

今日は恋愛にまつわるエッセイです。

 


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話は数年前。

 

とある女友達がこんな話をし始めた。

 

「毎朝、通勤電車の中で、じっとこちらを見つめてくる男が居る。
 もう何ヶ月も無視していたが、最近は私の肩を叩いてきたり、行動がエスカレートしてきた。
 怖くなって電車の時間を変えても、数日後にはついてくる。
 警察に相談したが、直接危害を与えられてないから動けないと言われた」

 

それを聞いて、僕は強く憤った。

必ず、かの邪智暴虐のストーカーを除かなければならぬと決意した。

 

そのためには、具体的に言うと、まず毎日彼女の通勤の送り迎えをする必要がある。

そしてそれでも怪しい男が近づいてきたのであれば、その男の胸ぐらをつかみ、罵声を浴びせる。

抵抗するようなら、暴力のひとつでもあげてしまうかもしれない。

そうして何としても相手を懲らしめ、彼女から遠ざけなくてはならぬ。

 

……と、そこまで考えて、はたと気付いた。

そこまでしたら、それはそれで彼女に迷惑だ。

 

毎日、恋人でもない男友達に送迎されるなんて、非常に気持ち悪い。

それこそストーカーのようなものだ。

僕には、そこまでする権利はない。

 

言い換えると、僕には、その女友達を護る権利はないのだ。

僕はそれに気づき、がっくりと肩を落とした。

 

つまるところ、これが「恋人」と「友達」の違いなのではないだろうか。

相手を護る権利。相手を想う権利。

それが、人と恋人関係になることの一番のメリットなのではないか。

 

恋人がいる人は、「自分が相手を護っていい」という喜びを、もっと噛み締めた方がいい。

 

 

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余談。その女友達のその後について。

 

結局その日は二人で知恵を絞り、防犯グッズを買ったりはしたが、僕はあまり直接は力になれず、悔しい想いをした。

 

だが後日、彼女に恋人が出来たという話を聞いた。

それ以降あまり会ってはいないが、どうやら元気でやっているそうである。

その彼女の恋人とやらに、期待するしかない。