数年前まで、少しだけ同人活動をしていたので、今日はその話。
ちなみにここで言う同人活動とは、「趣味で漫画や小説を書くこと」ではなく、「即売会で同人誌を売る(頒布)すること」である。
まず最初にネガティブな話から。
なぜ僕が同人活動を辞めたかというと、「創作活動以外の部分があまりに大きいから」である。
同人誌制作というと「漫画家(作家)っぽいこと」をやるイメージがあるが、実際には「編集」「装丁」「宣伝」など、本作りに関わる全てのことをしなければならない。
そして、そちらの方が作業量・コスト・売り上げ貢献度ともにはるかに大きい。
つまり即売会の本質は、作品を作ることではなく、効率よく宣伝したり、人と交流を図ったり、本の見栄えを良くしたりすることにあるように感じた。
で、僕は宣伝や編集にあまり興味が無かったので、同人活動を続ける気にはなれなかった。
※ちなみに、僕が作家を目指す理由はそこにある。出版社には「編集者」等の人々が居て、小説を書く以外の販売戦略を一緒に考えてくれる。お金がかかっているから彼らも真剣だろう。それがプロの作家の強みだと思う。
※逆に言えば、そういう創作以外の部分も自分で出来るのが同人の強みでもある。
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次にポジティブな話をしよう。
同人活動をして良かったな、と思うこともいくつかあった。
大きく分けて3つあるので順に書いていく。
1つは、「良いものを作った」という達成感だ。
こればっかりは上手く表現できないのだが、この喜びは何物にも代えがたい。
2つ目は、誰かに読んでもらえることだ。
僕らはに大々的に同人活動をしていた訳ではなく、もちろん制作物(本やゲーム)もあまり売れなかった。
しかし、多少なりとも買ってくれた人は居たし、面白かったと感想をくれる人も居た。
本当にごく少数だが、「前回の作品が面白かったのでまた来ました」と仰ってくれた方も居た。それは本当に嬉しかった。
(だがしかし、これらの喜びを求めるのであれば賞やプロを目指したほうがリターンは大きいだろう。落選のリスクはあるが……)
そして3つ目に、最も嬉しかったのは、友人と共同でモノを作れた、ということだ。
例えば作曲が趣味の友人と一緒にノベルゲームを作れたし、文章を書く仲間とアンソロジーも作れた。
身も蓋もない言い方をすれば、いい記念になった。
創作からはかけ離れた感情だが、1つのイベントとして、楽しかったのは事実である。
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以上をまとめると、僕は、同人活動(即売会参加)は良くも悪くも「創作活動」とは結構離れた活動だと感じた。
宣伝したり、人と一緒に行動したり、交流したり、そういう行動自体が即売会の本質なのだと思う。
創作活動自体にだけ興味があるのなら、即売会に参加せずに物を作るか、何かの賞を目指すのが有意義なように思える。
誤解しないでほしいのだが、同人活動を批判している訳ではない。
人と交流するのは楽しい。
そしてそれは悪いことではない。楽しければいいのだ。
少なくとも僕は楽しかった。
だから、多少なりとも興味のある人は、一度即売会に参加してみればいいと思う。
気持ちだけで何とかなるのも、同人活動の魅力である。