kenpi20の灰色マインドマップ日記

にわか作家志望(某メーカー研究職、新入社員)による、現状把握・思考整理

【思い出】 臨海学校で12歳のぼくが学んだこと。

 
今日は、子供の頃の思い出話をしよう。
大人の無思慮な行動によって、ひどく傷つけられた話だ。
 
 
僕の小学校では、56年生の時に臨海学校というものがあった。
2泊3日の旅行で、最終日に海で遠泳をするのがメインイベントだった。
 
その遠泳は二種類のコースが用意されていて、15分ほどの短いコースと、1時間ほどの長いコースがあった。
とはいえ、本当に泳げない生徒を除いて、毎年ほぼ全員が長いコースを選択するというものだった。
 
しかし僕の居た代はそうはならなかった。
というのも、僕らの代はかなり荒れていて、普通の授業中でも10~20人ほど教室に居ないような学級崩壊気味の代だったからだ。
 
そんな調子なので、ほとんど全ての生徒が「面倒くさい」という理由で短いコースを選択していた。
僕は真面目な生徒だったが、運動が嫌いだったので、「ラッキー」と思い皆と同じ短いコースを選択していた。
 
 
そして臨海学校が始まった。
1日目と2日目は、最終日に向けた海での練習が行われた。
その旅行では、5~6人の班ごとにインストラクターの先生が付いた。
 
僕の班のインストクターは、筋肉質で、豪快に笑うタイプの中年男性だった。
彼は、班の全員が短いコースを希望していると知ると、
「逃げてちゃ駄目だろー! 人生は挑戦だぞ、怖いかもしれないが長い方のコースに挑戦しよう!」
と啓蒙活動を始めた。
彼は普段のクラスの空気を知らないから、全員が本当に怖がっていると思ったのだ。
 
僕らは、早く時間が過ぎないかなと思いながら、ただ黙っていた。
その様子を見て、彼は唐突に、僕個人に狙いを定めた。
「○○(僕)、怖がることないぞ! 俺も一緒に走ってやる! 頑張ろう!」
皆の前でそう言い続けた。
小柄で運動が苦手そうな僕が長いコースを選択すれば、「○○がやってるんだからお前らも長いコースのほうにしろ」と他の人も啓蒙できると考えたらしい。
周囲の生徒たちは僕のほうをちらちら見てクスクスと笑った。
僕は、ただひたすら黙っていた。
それを見て、彼はまた声を大きくした。
状況を理解していないのは彼だけだった。
 
二日目には、自分の腕にマジックで僕の名前を書いてきた。
「俺とお前は一心同体だからな!」と言われた。
そしてまた一日中、僕を啓蒙し続けた。
周囲の生徒たちは、彼の行動原理を全て理解した上で、ターゲットにされている僕を嘲笑った。
 
 
 
僕はそれがとてつもなく嫌だった。
普段目立たないように生活をしているのに、訳の分からない中年男性のせいで一斉に注目を浴びたのが嫌だった。
彼に「こいつが一番説得が楽そうだ」と思われたことも嫌だった
「こいつなら俺の方法で説得できる」と見くびられたことも不快だった。
 
僕は彼を殺してやりたいくらい憎んだ。
 
 
結果、僕は短いコースを選択した。
その年、長いコースを選択した生徒は居なかった。
 
彼は僕に、
「そうか、怖くなってしまったんだな。中学に入ったら何事にも挑戦するんだぞ」
と言った。
 
 
死ね、と思った。 
結局、帰宅するまで僕は彼に一切言葉を発しなかった。
 
 
 
あれから10年以上経つが、僕は今でも彼を憎んでいる。
彼が僕を見下したことと、周囲を全く窺い知れない彼の頭を悪さを憎んでいる。
 
頭の悪さは人を傷つける。
思慮が無い分、どこまでも残酷に、暴力的に人を傷つける。
そのことを初めて感じたのが、あの臨海学校だった。