書きたいことが特に無いので、思いつくままに嘘の日記でも書きます。
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今日はいい気分だったので、深夜に外をぶらぶら散歩していました。
すると、家から少し離れたところにある駐車場に、誰か人が居るのが見えました。
中をのぞき込むと、駐車場の真ん中に、男達3,4人が立っていました。
彼らは暗闇の中で向いあっているようで、微動だにせず直立していました。
そして足元には、何やら長い棒のようなものが置いてありました。
「何だあれは?」
少し気になったのですが、何だか気味が悪かったので、私はそのまま無視して歩き出しました。
そして缶コーヒーを飲みながらぼーっと川などを眺めながら、数日前から姿をくらましているスエザキのことを思い出しました。
スエザキは私の高校時代からの友人ですが、実に粗暴な男でした。私に車を貸せと急にせがんできて、仕方なく一日貸したら傷をつけて返してきたり、パチンコで負けたから金を貸せだの親が病気だから金を貸せだのと、とにかくやかましく私に絡んでくるのでした。
それは私に対してだけでなく、友人全般に同じようなことをしていたらしく、皆に煙たがれていました。
しかし数日前から、そのやかましい彼が行方しれずになったというのです。
「女か何かから逃げるために、どこか遠くで暮らしているのだろう」
私は友人たちとそう噂をしあいました。
しかし、やはり何か不穏な事態が生じているのではないかという不安はぬぐい去れませんでした。
「スエザキ……まさか殺されてたりしないよな」
と、誰かが冗談まじりで言った時、私達は大きな声で笑いました。
そうして笑い飛ばすことしかできなかったのです。
殺人。そんなものが現実に存在するとは、思いたくなかったのでしょう。
そこまで考えて、私は先程の、駐車場で見た男たちを思い出しました。
よく思い出すと、彼らの足元にあったものが、スコップだったような気がしてくるのです。
「まさか、あいつら……」
私は缶を投げ捨て、駐車場へ走りだしました。
(死体は、しばらく掘り返されない所に埋めてしまうのが一番でしょうね。これはヤクザの世界では常識ですよ)
先週、テレビで専門家がそう話していました。
嫌な予感がします。
彼らは何者なのでしょうか。あそこで何をしていたのでしょうか。スエザキは、今どこに居るのでしょうか。
私が駐車場に付いた時、彼らはまだそこに居ました。
息を整え、私は大声で、威勢よく声をかけました。
「お前ら、そこで何をしている!」
男たちは驚いてこちらを振り向きました。
全員、十代の若者でした。彼らは慌てて、手に持っていた煙草を捨てました。
そして、横に置いていた野球のバットを拾い上げました。
「あ……素振りの練習ですよ、練習。俺ら、野球やってるもんで」
私は地面を見ました。
そこには、掘り返された跡はありませんでした。
私はほっとしました。
「そうか。煙草は程々にしておけよ」
そう言うと、私は彼らに背を向け、その場を去りました。
そして、やはり駐車場に埋めるだけでは不十分なのではないか、と心配になりました。