久しぶりに軽い笑い話。
今日は、知人の実験の被験者を行ってきた。
その実験は、あまり詳しくは書けないのだが、脳活動を測定するものだった。
頭に「脳計測装置」(たくさんコードが付いた帽子のようなもの)を付けられ、その状態でアレコレと動作をさせられる。
その際、僕は何も感じないのだが、実は頭に近赤外線を投射されている。
その近赤外線の反射の度合いが、つまり僕の脳活動の活発さを示しているわけだ。
この装置により、「どの動作をしている時に、脳のどの部分を使っているのか?」が丸分かりとなる。
しかしこの装置には一つ問題がある。
それは、この装置が、装置と相性のいい人しか測定できないという点だ。
つまり、頭の形や頭の中の構造(血管の位置とか)が少し特殊だと、近赤外線がうまく反射しないために、うまく結果が出ないのである。
この条件が結構シビアで、測定が出来るのは5人中3人くらいで、測定が出来た人の中でも、ノイズが少ない綺麗な結果が出る人は3人中1人くらいらしい。
そんな訳で、不安な状態で実験に臨んだのだが、実験後、知人は満面の笑みでこう言った。
「君の脳、良いねえ! 最高だよ!」
僕は笑ってしまった。
そんな事を褒められたのは初めてだ。
彼はそんな僕の様子も意に介さず、
「見てよこの波形! この滑らかさ……良い! 綺麗に出てる! ほら前頭葉も見て! こっちはブレやすいんだけど、ほら、青い線が綺麗にカーブしてるだろ?」
と、いつまでも嬉々として語っていた。
彼の笑顔を見ただけで、僕は今日来て良かったな、と思った。
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話はここで終わりなのだが、ここから余談。
今のところ、僕の「近赤外線が反射しやすい脳」という長所(笑)が活かされることは全くない。
しかし今後、ブレイン・マシン・インターフェース(使用者の脳波を取得して、ロボットを思いのままに操る技術)などが発達して、「脳活動の取得」が日常的に使われる日が来たら……
もしかしたら僕は、「新型ロボットのパイロット適合者」や「世界の命運を左右する天才能力者」として重宝されるかもしれない。*1
何が言いたいのかというと、長所や短所なんてものは時代によって意味が大きく変わるということだ。
今日ほどプログラマが活躍する時代を誰が予見しただろうか? 今日ほど腕力がモノを言わない時代を誰が予見しただろうか?
だから、たかだか数十年生きたくらいで「自分は無能だ」などと落ち込むのは短絡的だと言える。
脳に近赤外線を反射させたことがあるか?
落ち込むのは、それからでも遅くない。
*1:まあ実際には、脳波と近赤外線は全く関係がない。念のため。