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kenpi20の灰色マインドマップ日記

にわか作家志望(某メーカー研究職、新入社員)による、現状把握・思考整理

【日記】 「工場研修」の実態と、研修を通して感じたこと

 

さて、久しぶりにブログを更新しようと思う。
現状報告だ。


今日の記事では、僕が行ってきた会社の「工場研修」の体験を、ひとつのモデルケースとして書き残しておこうと思う。

別に統計的な意味はないけれど、似た境遇の人や、似た境遇を歩むかもしれない人の助けになればと思う。

 

 

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まず最初に、工場研修をするに至った僕の人生を簡単に述べておく。

ここは初見の人向けに書くので、それ以外の人は無視してくれて良い。

 

 

■理系大学院生として(4月までの人生まとめ)

まず僕は26歳の男性である。某メーカー勤務の一年目。理工系出身で、研究職として採用された。

学歴は、某私立大学院卒。一浪して入ったので、現在26歳ということだ。

学生の間、つまり去年までは東京で実家暮らしだった。

その間、親(主に母親)との関係が精神的にうまくいかず、体調を崩したりした。
しかし休学などの措置は取らず、親とも大きなトラブルは起こさず*1、ストレートで卒業した。

就活は、まあ真面目にやったが、やりたい仕事がある訳でもなかったので強い希望は無かった。
理工系なのでメーカーを選び、とりあえず潰れない大企業を選んだ。

家庭の問題の影響で、東京から離れて一人暮らししたいな、とは思っていた。

 

 

■大手メーカー研究職一年目(4月~今日の人生まとめ)

入社後一ヶ月くらいは、本社研修(ビジネスマナーや電話対応などを型どおりに学ぶ)を受けた。
これはどこの会社も同じだろう。

 

その後は数ヶ月、会社の「工場実習」というものに従事した。
これはつまり、工場(現場)で働くことのない社員(研究職・営業・事務員など)が、工場の空気や仕事を知るために数ヶ月間研修に出るというものだ。

あえてはっきり言うのであれば、大卒以上の内勤の人間が、高卒で地元就職した人々の工場労働を体験する、というものである。

 

業務というよりは研修なので、「工場の利益に貢献する」という事よりも、「本社への報告」(現場を理解できたというアピール)が主要なアウトプットといえる。

この「工場研修」という風習はメーカー(製造業)では一般的なものらしい。
この工場実習の長さ・業務内容は会社によって違うし、事業部によっても違う。
とりあえず僕の場合は、半年間、とある中国地方の工場の新人として業務に当たった。

 

で、今日をもってその工場研修が終了した。
明日からは本社の研究所(もとの配属先)に勤務することになる。

住むところも変わる。
中国地方に住むのは今日までで、明日からは北陸地方に住む。

 

 

■大手メーカー研究職二年目以降(今後の見通し)

明日からは北陸地方で、研究職で勤務する。

研究職の勤務地は、当然、研究所だ。

研究所は本社にある場合もあるし、別の場所にある場合もある。

弊社は後者で、複数の研究所がある。そのひとつが北陸地方にある。

 

具体的な業務内容はまだよく分からないが、大雑把に言えば、工場で駆動している機械(広義のロボット)に関する研究だ。
まぁ仕事に期待していないので、内容は別にいい。

 

また、この勤務地(勤務部署)は永続的なものではなく、過去の例から言うとせいぜい2~4年程度らしい。

その後どこに行くのかは分からない。

 

転勤先の予測は、はっきり言って不可能と言える。
研究所内の異動(確率的には最も高い)であれば、ほぼ確実に関東になる。

事業部(ざっくり言えば、研究所よりも商品に近い仕事をする部署)に異動になる可能性も大いにある。
この場合、全国に事業部があるため、北海道から九州までどこに行くか分からない。
(海外事業部に行くことは、ほとんど無いらしい)

またその転勤先も永住の地である保障は全く無い。
要するに転勤族「になる可能性」は常に存在する、と言える。

※こうした事情は、大手メーカー*2の理系人にとってはほぼ共通であると言える。

 


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以上が客観的な僕の立ち位置だ。

 

次に、工場研修を体験してどう感じたか、主観的なことを赤裸々に書こうと思う。

 


■工場実習は大変か?

前述のとおり、実習先によって大きく異なる、ということを念頭において読んで欲しい。

 

僕の場合、まず、肉体的に大変しんどかった。
基本的に立ちっぱなしの作業で、物を運んだり、素早く動いて機械を操作することが求められた。
拘束時間も極端に長く、そのためすぐに足が筋肉痛になった。
少しでも楽になるように、毎朝ビタミン剤を飲んだりもした。

 

また、勤務体系もきつかった。昼勤と夜勤が交互に組まれていたため、睡眠時間の調整が過酷だった。

この肉体的辛さは、今までの人生で最上のものだった。
受験生の時や、院生の時もほぼ無理をしたことはあったが、それを遥かに凌ぐ辛さだった。

特に夜勤は、疲労と眠気でよく分からなくなった。
朝に帰るときは、疲れからお米が喉を通らず、うどんなどしか受けつけない時もあった。
約半年間この勤務体系をこなしたが、別に慣れるということもなかった。

 

また、危険な作業も、実際のところ存在した。
有害そうな薬品であったり、重量物や刃物の近くで作業することもあった。
もちろん安全対策はなされているが、指を切断するなどという事故も過去に起きていた。


※他の実習先に行った人の場合。
しつこいようだが、こうした事情は実習先によって違う。
ひとつ前の工程に勤務しただけでも大きく変わる。
具体的には、座ってする仕事だったり、そもそも夜勤がない場合もあるらしい。

 

※さらに、僕のような「肉体的にしんどい実習」は、女性社員はしない。
 単純に体力の差もあるし、前述のような危険な環境に女性を置くのは、社会的によろしくないのだろう。*3

 


■工場実習の賃金

ただしその分、賃金は高かった。
というのは、残業代・深夜手当て・土日出勤手当が出るからだ。
(もちろん条件を満たさない部署ならば出ない)

具体的には、家賃や水道光熱費を天引きされた状態で、手取り27万円ほどだった。
これは現場従業員と同じ給料だ。つまり彼らは高校を出た時点でこの給料を手にすることになる。*4
そして工場内で出世すれば増えていくことになる。

 

これは、本社研究職一年目の給料より遥かに高い。
しかし一般に、生涯賃金では本社研究職のほうが上らしい。
僕としては信じられない話なのだが、世間一般としては常識らしい。

 


■現場の労働者について

僕は、現場の労働者(地元の高校を出て工場で働いている人)にほぼ初めて触れた。
中学から私立だったし、東京在住だったので、そういう人に会うことはなかった。

 

結果、僕の知っている人々とは少し違った。
まず結婚年齢が若い。あと外見が砕けている人が多く、敬語をあまり使わなかった。
性格は明るい人が多かったように思う。一方、もちろん陰湿な人も居た。
スポーツの話題が最も多く、あとはギャンブル・風俗の話題も多かった。

 

悪い人間が多かったという話ではない。

親切な人も居た。二人で飲みに行った人もいた。

良い人も悪い人もいる、というのは、すべての集団に言えることだと思う。


ただ、僕は元々上記のような話題に明るいわけではなく、割と現場の人と距離があった。
その距離は半年では埋まらなかった。

僕は彼らと距離を作るつもりはなかったが、まあ、元々性格が合わなかったのだと思う。
あまり気にしなかった。

 


■人生の選択について(高卒で現場労働か、大卒以上で内勤か)

別に人生は「高卒で現場労働」「大卒以上で内勤」の二種類だけではないのだが、
今回ふれたのがこの2つだけだったので、これらを比較したい。

 

まず僕の気持ちとして、この二つに貴賎の差は感じなかった。
中には「院まで出て工場で働くなんて屈辱」なんて言う人も居るようだが、
僕はそうは思わなかった。
工場で這いつくばって雑巾がけしても、別に惨めだとは思わなかった。
現場の人に怒鳴られても、別に屈辱だとかは思わなかった。

 

ただ、どちらの仕事が楽かと言えば、圧倒的に「大卒以上で内勤」だと思う。
僕は肉体的疲労の辛さを知った。これは根源的な辛さ故か、耐え難いものだった。

この半年ほど、内勤を選んで良かったと思った時はない。
座って仕事ができるということが、少なくとも僕にとっては重要だと気付かされた。
しかも「大卒以上で内勤」の方が生涯賃金が高いというのだから信じられない。
はっきり言って不平等だと思う。


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僕は工場研修を通して、今まで以上に保守的な人間になったと思う。
つまり、失敗することが怖くなった。

肉体労働がこんなに辛いと思わなかった。
「仕事なんて何でもいいや」「何かを目指して、失敗してもいいや」なんていう考えは、もう持てなくなった。
世の中には本当に過酷な労働環境があるということを知った。
しかしこれでも、噂に聞く「ワーキングプア」などよりは良い境遇らしい。ぞっとする。
誤解を恐れず素直に言うが、内勤になれて本当に良かったと思った。

 

繰り返すが貴賎の問題ではない。

単純に、世の中には労働条件の格差があることを知った、という話だ。

 

ここ(この国? この時代?)は、本当に恐ろしい場所だと思う。
出来ることなら、僕がこんな現状を何とかしたいが、申し訳ないのだけど力不足でそれは出来ない。

僕はただ震えながら生きることしかできない。

これを読んでいる貴方も何とか無事に生き延びて欲しいと思う。

 

 

 

*1:体調不良も隠した

*2:つまり全国に工場を持っている企業

*3:別に良いとか悪いとか言っている訳ではない

*4:もちろん弊社内での話