kenpi20の灰色マインドマップ日記

にわか作家志望(某メーカー研究職、新入社員)による、現状把握・思考整理

【小説以外感想その3】『家出のすすめ』(寺山修司)―― エネルギッシュでポエティックでセンシティブな若者啓蒙書。

 

家出のすすめ 角川文庫

家出のすすめ 角川文庫

 

 

 

【ジャンル】 随筆(エッセイ)


【初版発行】1972年
【読了時】2015年
【レビュー執筆時】2015年


■この本を読んだ理由

本屋さんで見かけて。

最近観た、寺山修司原作の演劇が面白かったので。


■概要

戯曲家、寺山修司が若者を啓蒙する内容の随筆(エッセイ)。

親を捨てて家を出なさい。公序良俗に反する行為を行いなさい。その他、色々なすすめ。

 


■感想

凄まじい熱量を持ったエッセイだった。

最初の提言が

『Beat, Beat, Beat!  他人の母親を盗みなさい。』

である。

脳みそがとろけそうだ。

 

その後もこうした常識からかけ離れたメッセージが散見するが、それらの意見の根拠は、たいがいが詩である。
要するに論理的な根拠なんて無い。しかし奇妙なのが、作者はそのことを誤魔化していないし、恥じてもいない。「論理的ではない。それがどうした?」とでも言いたげな、圧倒的な勢い。男らしい。

 

大筋としては、「家を、親を捨てろ。まず捨ててから人生の目的を考えろ」「反俗的になれ。常識を捨てろ」といった所だろうか。

こうした力強いメッセージを表しておきながら、それに関する作者の自伝的部分は非常にセンシティブだ。まさに詩人なのである。

よく巷では「詩」や「ポエム」を、「よく分からない難解で痛々しいもの」という偏見で見ることがあるが、寺山修司に限って言えばその偏見は間違っていない。そして彼の提言はそんな世間の(阿呆どもの)意見など突っぱねるだけの強さがある。

要は、それが重要なのではないか。親や周囲、世間の目など気にするな。好きな様に生きろ。そういうことを伝えるために、わざわざ内容というよりも文脈(および文体)という形で強さを見せているのではないか。

 

何にせよ、この脳みそが破壊されるような感覚は、寺山修司以外の文章ではちょっと味わえない。

読んでみてほしい。俗世に依存しな感性というものがどういう物か、分かるはずだ。


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最後にこっそり、ほんの少しだけ、本音も書いておこう。
凄い本だと思う。でも、今の僕にはまだ少し難しかったです。本音おわり。