kenpi20の灰色マインドマップ日記

にわか作家志望(某メーカー研究職、新入社員)による、現状把握・思考整理

【アニメ感想その1】 『機動戦士ガンダム』 (富野由悠季監督) ――人間の成長を丁寧に描く,物語としての傑作

 

 

【公開年】1979年-1980年
【視聴時】2015年
【レビュー執筆時】2015年

 


■このアニメを見た理由
初見。
まず、僕はテレビアニメに詳しくない。全話見たアニメはエヴァハルヒ苺ましまろくらいだ。*1
で、ガンダムという作品名はもちろん知っていたのだけど、何分古い作品なので見ていなかった。
そんな中、友人にガンダムオタクが多く興味があった事と、
有料チャンネルで同監督の『伝説巨神イデオン』(映画版)を見て、非常に面白かったので、今更ガンダムも見てみることにした。
少年に戻ったかのようなワクワク感を期待して。


■あらすじ
人類が宇宙に移住を始めて80年。宇宙移民と地球在住民(支配階級)の間には、歪んだ選民思想の下に軋轢が生じていた。
そんな中、地球から離れたコロニーにおいて独立国家「ジオン公国*2が発足され、地球連邦軍独立戦争を仕掛ける。

戦争に関心を示さず気ままに過ごしていた少年アムロ・レイは、突如戦火に巻き込まれ、偶然にも地球連邦軍の試作兵器「ガンダム」を発見、生き延びるためにこれに乗り込む。
これを契機とし、他の民間人やパイロット候補生達とともに、地球連邦軍の一員として戦争に参加する。

只の我儘な少年であったアムロは、戦場における仲間たちとの関わりや、シャア・アズナブルを始めとするジオン公国の軍人たちとの戦いを経て、人間として成長していく。

 


■感想
色々な点で、予想していたものと違った。

 

まず全体を通して話が重い。戦争をテーマにしているから当然といえば当然だが、明るいロボットアニメだと思っていた僕は少し驚いた。

もちろん、重い話が嫌いなわけではない。が、普段テレビアニメを見ない僕としては、重い話を30分×43話見るのは割と心にきた。

キャラクターが死ぬ描写も、一人ひとりちゃんと描かれているので*3、本当に悲しい。逆に言えばかなり緊迫感があった。

 

また、予想外に楽しめた点として、巧みな設定群がある。世間のガンダムオタクが設定に拘っているが、僕自身は興味を持てないだろう……と思っていたのだが、あまりにリアリティのある設定群に夢中になってしまった。
具体例をあげると、「ザクは陸空海で使えるため汎用性が高いが、それ故に地上戦には限界がある。そこで開発されたのがグフである。そんな経緯があるため、グフは地上戦では強いが宇宙では使えない」*4といった理屈っぽい設定に痺れた。自分の中で、物語を見る新しい価値観に気付かされた。

 

もうひとつ予想外だったのが、作中後半において人間に対する哲学が語られる部分だ。主にニュータイプという概念に絡めて述べられるのだが、「(宇宙へ出た人類の進化の果てに)人と人は分かり合えるのか」といった問いが描かれているのが衝撃的で、面白かった。
後年のロボット物であるエヴァは「哲学的すぎる」として賛否両論あったそうだが、ガンダムの時点で既にここまで哲学しているではないか、というのが僕の感想である。
(ただガンダムは、戦争の終結を物語のラストに持ってきている点がエヴァと違って親切である。それに希望のあるラストだ)
(こうした要素をメインに持ってきたのがイデオンなのだろう。あれには絶望しかないが)

 

それに関連してだが、この物語のテーマは「アムロの人間的成長」で一貫している。

前半は、ただの民間の少年であったアムロが、上司に殴られ、仲間の死を見て、また敵の死に様に心打たれ、社会性を身に着けていく。

そして後半はニュータイプとして覚醒することで、軍人としての自我を超えて、人類そのものの未来を考えるようになる。

 

このような主人公の成長を、時間をかけてしっかりと描けている物語はそうそう無いと思う。*5

おそらくこれは富野監督の手腕だ。

人間は成長し得る、ということに、何だかひどく感動してしまった。

 


■個人的な思い入れ(物語として)

ガンダムは、物語として凄いと思った。

メカ描写とか、ロボットアニメとしての新規性とかは詳しくないのでよく分からないが、

僕は「物語として骨格が太い」というようなことを感じた。

 

要するに、人間の成長というテーマの掲げ方と、それをじっくりと視聴者に説得していく手法が、とてもストレートで、「ちゃんとしている」のだ。

監督に伝えたい事が明確にある、ということが心地良い。

創作にあたっては、技術や才能ももちろん必要だけれど、それ以前に「伝えたいこと」をしっかり持つことが大事なのではないか。

ガンダムから、そんなことを感じた。

 

アニメ好きというよりも、物語創作を志す人におすすめしたい。物語としての傑作である。

 

 

 

 

 

*1:後年この記事を見た人のために書いておくと,2015年現在ハルヒは既にブームが完全に収束しており、パチンコ化もされている状況だ。2015年はそのくらいの時代である。

*2:発足当時はジオン共和国

*3:これは倫理の面から言ってとても良いことだ。

*4:曖昧な知識です。

*5:逆に言えば、僕が今まで何となく敬遠していたテレビアニメ(の長い尺)には、そういうメリットがあることも知った