飲食店でのアルバイトを通して思ったこと。
たまに料理専門家などで、「料理は化学だ!」とか、「料理は科学で解明できる!」みたいなことを言っている人がいる。
しかし、これは間違っていると思う。
もちろん世の中のすべての現象は科学(⊃化学)で説明がつくであろう。料理だって例外ではない。
しかし、料理は非常に複雑な現象だ。
だから、付け焼き刃の化学知識では太刀打ちできないと思う。
例えば、そばを茹でるときの「差し水」*1ですら、本当にコシが出るのかが謎のままだ。
これはつまり、「蕎麦」「お湯」「コンロ」「冷水」から成り立つ環境が、あまりにも複雑だから計算が出来ないということに起因する。
「家庭の調理環境がそんなに複雑なわけないじゃないか」
と思うかもしれないが、それは大きな誤解である。
実生活に近ければ近いほど、環境は複雑になる。
理科や数学の問題で、「ただし摩擦はないものとする」などと非日常的な環境を扱うのはそのためだ。
調理場とか、風呂とか、布団の中とか、そういう実生活の環境を真剣に考え出したら、とてもじゃないが高校物理では太刀打ちできないのだ。
話を戻すが、そういった訳で、「料理は化学だ!」という主張は、的を射ていないと思う。
ヤカンのお湯が湧くまでの時間を、化学に基づいて算出することはほぼ不可能だ。*2
実際には、何度かそのヤカンを使うことで、経験的に学んでいくしかない。
現段階では、「料理」なんていう複雑怪奇なシロモノは、経験則に基づいて行うほかに術はない。