恋人と別れて二ヶ月強が経った。
もちろん寂しいけれど、正直言って、心は少し軽くなったと思う。
何故なら、今後、彼女が僕に関わって涙を流すことは絶対にないからだ。
彼女には愛すべき家族が居て、愛すべき友人が居て、愛すべき自己がある。
だから幸せにやっていくだろう。
断定的な言い方をすれば、彼女が不幸になる要因は、僕しか無かったとすら言える。
付き合っていた頃、彼女との今後を考えるのが辛かった。
僕の母親は、困った性格だから、今後彼女に危害を加えることが目に見えていた。
自分だけならまだしも、彼女まで泣いたり体を壊したりするのは、どうしても耐えられなかった。
付き合っていた頃は、そういう(確実に訪れるであろう)未来のことは敢えて考えないようにして過ごしていた。
……が、やはりそれにも限界があった。
だから、彼女と別れて良かったのだと思う。
大事なものが近くになければ、壊される心配もない。自分で壊す心配もない。
平穏だ。
今日も僕は、大事でないものに囲まれて静かに生きる。
全くもって最高ではないが、最悪でもない日々だ。きっと。