kenpi20の灰色マインドマップ日記

都内で暮らす会社員のライフログ、現状把握、自己分析

【エッセイ】 幸福とは、電車を乗り過ごさない人生である。


打って変わって、今日は抱腹絶倒の面白エッセイです。


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最近、僕は哲学に少し興味を持っていて、図書館で初心者向けの哲学入門書を借りてきた。

その本は、中学生でも分かるくらい平易に書いてある本だけれど、哲学初心者の僕にはちょうどいいかな、と思った。

僕は大学に向かう電車内でその本を開いた。

冒頭には、こんなようなことが書いてあった。

 

哲学は、「人間はどう生きるべきか」「道徳の根本とは何か」といった問題に取り組む学問です。
しかし、哲学は、実生活に応用できるとは限りません。
なぜなら哲学は、社会や人生における「理想状態」を追及するものだからです。
「その結論を、どのように実生活に活かすのか?」ということは、哲学者の考える問題ではありません。
豊かな生活を求めるのであれば、哲学書ではなく料理のレシピ本や電車の時刻表を読んだほうが良いでしょう。

これは、例えるならば、哲学書は「文法の教科書」であり、料理のレシピ本は「作文のハウツー本」ということです。

 

 

僕はこれを読んで、ますます哲学に興味を持った。
何故なら、僕は役に立たないものが大好きだからだ。


僕はワクワクしながらページを捲った。

「良い人生とは」「道徳とは」「功利とは」

そんな話がたくさん載っていた。

それらは未解決問題だから、明確な答えが載っているわけではなく、また納得できない話もたくさんあった。

しかし、それらも含めて僕は面白く感じ、楽しい時間を過ごした。

いつまでもいつまでも、楽しい時間を過ごした。

 

 

そう、楽しい時間を過ごしすぎたのだ。

いくらか時間が経って、僕は「はっ」として顔を上げた。

そして、車内アナウンスを聞いて、僕は大きなミスを犯したことに気付く。

 

……完全に乗り過ごした。

 

一瞬のうちに、頭がフル回転する。

「急行で戻るか? いや、逆に各駅のほうが速いか?」「到着は何分遅れる?」「遅刻の可能性はどれくらいある?」「遅刻の連絡をしたほうがいいか?」「謝罪の文面はどうする?」

そんな現実的な問題がひしめき合う。


そんな風にせわしなく頭を動かしている中で、ふと、手元の本の一文が目に入った。

 

豊かな生活を求めるのであれば、哲学書ではなく料理のレシピ本や電車の時刻表を読んだほうが良いでしょう。

 

 

その日、僕は2つのことを学んだ。

 

哲学は、役に立たない。
そして幸福とは、電車を乗り過ごさない人生である。