たまに不安になる。
もしかして、母は善良な人間で、自分はただ自分勝手に騒いでいる極悪人なのかもしれない。
自分が書いている小説なんてこれっぽっちも面白くなくて、執筆なんて無意味な行為なのかもしれない。
仕事をして金を稼いでも、良いことなんて一つもないのかもしれない。
「正しい行い」が何処かにあって、それをしていない僕は罰せられるべきなのかもしれない。
僕は信じることしか出来ないが、信じるとはつまり、証明は出来ないということだ。
何の保証もないということだ。
もしかして、僕の考えは全て間違っていて、刻一刻と間違った道を進んでいるのかもしれない。
皆は「正しい行い」を知っていて、それを為しているのに、僕だけ馬鹿で無知だから何も出来ないでいるのかもしれない。
間違っているから苦しいのかもしれない。
自分が正しいか、間違っているかどうかなんて一生わからない。
どちらかを信じようとしても、一瞬でも懐疑主義に陥った者に安息の日々は訪れない。
僕が今見ているこの世界で確実なものは、鈍く断続的な頭痛と、首吊り用のロープと、首吊り時の嘔吐感だけだ。
何も考えたくないのでとりあえず寝る。眠気はないが、他にしたいこともない。頭がじくじくと痛む。